2020年12月5日 p.m.1時
その時、ふと思った。
"あ、そうだ、親知らず抜こう"
と。
それから2時間後、自分は歯科医院にいた。
もともと、親知らずを抜きたい抜きたいってずっと思ってて、でも、思ってるだけで行けずじまいだったのだが、
ここ数日の親知らずからの痛みがひどすぎて、思い立ったが吉日その日以降は凶日という言葉のもと、歯を抜きに行った。
思い立ってからの行動は速かった。
まず、近くの歯科医院に電話。
親知らずを抜きたいと伝えると、
本日の14:30から治療できるとのこと。ただし、レントゲン次第では、後日に抜歯になる可能性もある、と伝えられた。
今の時間を確認しようと時計を見ると、13:30
今から1時間後、歯を抜かれる。
抜歯って、もっと心構えとかを前日から作るもんなんじゃねぇの?急に1時間後に歯を抜くことになるって、え?、ふぇぇ…
とか思ったりしたが、悠長にしていられない、急いで身支度した。
ここで、重大なことに気づく。
保険証が手元にない。
全くもって、意味がわからなかったのだが、停止していられない。
ちょうど親が帰ってきたので、1万円ほど頂いた。助かった。
そして、いざ、歯科医院へ。
初診であるので、紙に必要事項を記入。
"本日の来院理由は?"には、
"親知らずを抜きたい"としっかり書いた。
その後、少し待って、治療場所へ案内された。
その時、時間は14:30
電話してから1時間後に、本当に治療席に座っていたことに、驚いた。
ていうか、急いで準備したりとか、保険証がなくて、慌てたりしていたせいで忘れていたが、
自分はこれから歯を抜かれるってことを思い出し、ちゃんと実感し始めて、急にそわそわし始めた。
"やばい、どうしよう、怖い。
他の人の抜歯体験談だと、滅茶苦茶痛いとか言ってたなぁ"
とネガティブ思考スパイラルに陥って、不安でしかなかった。
"いや、でも、レントゲン次第では歯を抜くのは後日になるとか言ってたよな、どうなんだろう"
と、若干現実逃避していると、担当医がいらっしゃり、
自分が書いた "来院理由→親知らずを抜きたい" をご覧になって、
"親知らずを抜きたいんですね。かしこまりました。
上の親知らずが下の歯茎を痛めてるので、上から抜いていきましょう。
それでは、先に麻酔を打ってからレントゲン撮って抜歯していきましょうか"
いーや、聞いてた話と違うぞ?
レントゲン次第で、抜歯するかどうか決めんじゃねぇの?
いや、さ、抜きたいし、すぐに抜いてくれるのはありがたいけど、不安スパイラルに陥ってた自分に対して、抜きます断言は、は?ってなるし、
なんていうか、面食らったっていうか、青天の霹靂っつうか、
不安よりも驚きが勝ってしまって、結局ノリと勢いなのか、と。
うむ!!
この麻酔を打つとかいう作業、
自分が思ってたのは、1箇所に針刺して、そこからプチューって注入するのかと思ってたら、
複数箇所にブスブス刺していく感じだった。
最初の方はやはり痛かったが、麻酔が効いていくのか、最後の方はあまり痛みを感じずにブスブス麻酔を刺された。
そのあと、レントゲンを撮り、親知らず抜く前に軽く口内清掃。
レントゲン写真の現像が終わっていたので、いっしょに確認してもらった。
まず伝えられたのは、痛み始めていることから、やっぱり親知らずは全部抜いた方が良いとのこと。
で、下の親知らずは神経にめり込んでいて、当院では治療できないから総合病院のほうに訪ねてみてほしい、とのこと。
うーん、神経にめり込んでる…?
それってさ…治療の痛みとかさ…いろいろさ…
あの…
と、予想外の横槍により未曾有の不安に落とされ、返事が "はぁ" となってしまった。
怖いなぁ怖いなぁ…
そんな不安など担当医は露知らず、いざ、抜歯。
担当医から、痛かったら左手あげてください、と伝えられる。
右手だと治療医にぶつかる可能性があって危ないからなのかな、と今更ながら思った。
この抜歯とかいう治療、
まず驚いたのが、人力で抜くということ。
もっと便利な機械かなんか使って、ズドン‼︎って抜くのかと思ってたら、ペンチみたいなので右左とグリグリしながら抜いていく。
あまりにも原始的だったので思わず笑いそうになっていたら、
急に痛くなって、
"い、いはいっっっ、いはいっえ!!!"
って騒いでしまった。
痛かったら左手を上げろとかいう指示は、どこに行ってしまったのやら。
一度、治療がとまり、
いってぇなぁ…と心の中で思っていると、
"じゃあ、麻酔追加しますね"
と担当医から冷静な言葉がかけられた。
……え、そうゆうことなの?
麻酔足す足さないの問題なの?いてぇっていう感覚は、麻酔でどうにかな「口開けてください ブスブス」
また、ペンチみたいなので右左とやられた。
だが、今度は全く痛くなかった。歯をグイグイされている感覚はあるのだが、痛みを感じなかった。
麻酔すげ〜、麻酔すげ〜
一応、他にも痛いところがあって、親知らず抜くために口の端を押さえて支えながらやってたんだけど、その口の端がそれなりに痛い。
次回抜くとき、そこにも心構えをしとこうと誓った。
最終行程で、今までのペンチとは比較にならないドデカペンチが口の中に入ってきた。
舌の感覚で、ドデカペンチが歯を挟んでズィーって降りてくるのを感じ、
"おおおおおおおお、抜けてる抜けてる!!!"
って少し興奮しながら抜かれてった。
いつごろ終わるかな、まだかかるのかな、思ってたほど痛くないなって色々考えてたら、
"終わりました" と告げられた。
いや、本当にあっけなくて、素っ頓狂な返事をしてしまった。
"ふぇっ?" みたいな、ガチでこんな感じ。
なんか、はじめての抜歯ということで、興奮していたのか、治療後なんの気兼ねもなく、
"抜けた歯写真撮っていいですか?" と助医さんに尋ねていた。
すると、助医さん、
"あ、構わないですよ!
よろしければ、持って帰ってもいいですよ!"
と明るく返答。
いらん。写真だけでいいんだよ。
それからは特に問題なく、保険証ないために返金確約されているものの高い料金を支払い、次回来院日を決め、処方箋を購入し帰宅。
治療からもう3時間ほど経ったが、今のところ、腫れとかはなく、
また、縫合はされなかったため、歯がなくなり穴となった部分に喪失感を舌で感じつつ、
今日のご飯どうしよう、とか
歯磨きどうしよう、とか
圧倒的未知の体験をしている。
ちなみに、血は出る。
永遠に血の味するし、鏡で見たら、血の滝が流れてた。
世の中、見ない方が、知らない方が良いこともあるなと改めて思った。